誰も追いつけない理由 ―― 90年の技と覚悟、日本剣道具製作所と全日本武道具
誰も追いつけない理由
―― 90年の技と覚悟、日本剣道具製作所と全日本武道具
世界に、日本人が経営する大規模な剣道防具工場は、二か所しかないと言われている。
決して多い数ではない。だが、その二つの拠点こそが、今日の剣道防具の品質と基準を、長年にわたり静かに支え続けてきた存在である。
世界中で剣道防具は使われている。
しかし、その「原点」がどこにあるのかを、正確に知る人は意外に少ない。
約90年前、世界で初めてミシン刺し剣道防具を実用化した工場が日本にありました。
それが日本剣道具製作所です。現在当たり前となっている防具の形状や量産技術の基礎は、すべてここから始まったと言っても過言ではありません。
斜め刺し、具の目刺し、刺し幅や形状――。
刺し方ひとつを取っても、剣道具の世界には無数の議論と改良の歴史がある。
その進化の出発点に、世界で初めてミシン刺し防具を確立した日本剣道具製作所があったことは、業界関係者の間では自然に共有されている事実だ。
宮崎にある日本剣道具製作所には、現在も約60名の職人が在籍し、
内職を含めれば100名以上が製作に関わっている。
日本製剣道防具の8割以上がこの工場から世に送り出されているとも言われる。
日本資本100%のもう一つの拠点
そして、もう一つの拠点が、全日本武道具の海外自社工場である。
企画・設計から縫製、検品、出荷まで、すべてを自社で一貫管理。
日本資本100%、日本人が経営と品質管理を行う工場は、業界でも極めて稀な存在だ。
効率よりも、「責任から逃げない構造」を選びました。
工場も、人も、管理もすべて自社。問題が起きれば必ず自分たちで向き合う。
技術水準は、しばしば「世界第二位」と評されることもある。
しかし目標はただ一つ、日本剣道具製作所の水準に追いつくこと。
両工場から生み出される防具は、月産約700具、年間約8,000具。
世界市場約5万具のうち、日本企業製は2割にも満たない。
それでも、世界の剣道家の10人に1人、あるいは2人が、
日本の工場で作られた防具を身に着け、勝負の場に立っている。
数ではなく、信頼で選ばれてきた防具。
品質と基準で世界を牽引し続けてきた存在――
それが、日本剣道具製作所と全日本武道具である。
90年守り続けてきた「逃げない姿勢」
それは決して過去の栄光ではない。
糸一本、針一針、刺し幅のわずかな差、重さ数グラムの違いにまで、今も目が行き届く。
長い歴史があるからこそ、慢心せず、常に「進化し、より良いものを」と考え続けています。
全日本選手権という最高峰の舞台で、多くの選手が同社の防具を選ぶ。
その事実も、日々の積み重ねの延長線上にある。
―― 誰も追いつけない理由は、技術の差だけではない。
九十年守り続けてきた「逃げない姿勢」そのものが、
他を寄せつけない最大の強さなのである。







