90年のものづくりから考える「剣道具」と「防具」
「剣道具」と「防具」という呼称について
呼称についてはさまざまなお考えがあることと存じますが、お問い合わせをいただきましたので、当社の考えをお伝えいたします。
剣道に携わる方々の中には、「剣道具」という呼称を大切にされる考え方があります。これは、剣道が単なる競技ではなく、人間形成を目的とした武道であり、その精神性や文化を重んじる立場から生まれたものと理解しております。
また、全日本剣道連盟が正式名称として「剣道具」を用いていることについても十分理解しており、当社自身も社名を「日本剣道具製作所」としていることから、「剣道具」という言葉を大切なものとして捉えております。
一方で、当社は創業以来約90年にわたり剣道具づくりに携わってまいりましたが、製造現場では長年「防具」という呼称が使われ続けております。これは剣士の身体を守り、安全に稽古や試合ができるようにする役割を表す言葉として、職人たちの間で自然に受け継がれてきたものです。
当社は日本で唯一、面・胴・甲手・垂のすべてを一貫製造し、日本製剣道具の80%以上の製造に携わっております。その長い歴史の中で、職人たちは「防具をつくる」という言葉とともに技術を磨き、品質を追求してまいりました。
「剣道具」と「防具」は
本来対立する言葉ではありません。
「剣道具」は剣道の理念や文化を表す言葉であり、「防具」は剣士を守るという役割や機能を表す言葉です。表現する側面は異なりますが、どちらも剣道を支え、剣士の成長を支える大切な言葉であると考えております。
もちろん正式な場面では「剣道具」という呼称を用いることが適切であると考えております。しかし、製造現場において長年受け継がれてきた「防具」という言葉にも、先人の職人たちが積み重ねてきた歴史や誇りが込められています。
私たちは、「剣道具」と「防具」のどちらが正しいかを論じることよりも、剣士の皆様に安心してお使いいただける良い道具をつくり続けることこそが、製造メーカーとして最も重要な使命だと考えております。
呼称にはさまざまな考え方があると思います。しかし、剣道を愛し、剣道文化を次世代へ伝えたいという思いは、剣士の皆様も、指導者の皆様も、そして私たち製造に携わる者も同じではないでしょうか。
当社はこれからも「剣道具」という正式名称への敬意を持ちながら、90年以上受け継がれてきた職人の技術と伝統を守り続けてまいります。そして何よりも、呼称に関わらず、剣士の皆様に信頼していただける道具づくりを通じて、剣道の発展に貢献してまいります。
剣道文化を未来へつなぐという共通の願いであると、
私たちは考えております。







